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棚田学会
Rice Terrace Research Association

                  棚田学会賞 

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棚田学会賞
第8回石井進記念棚田学会賞(平成23年度)
1.授賞者 
(1)学会賞:畑の棚田保存会(滋賀県高島市畑)
(2)学会賞:長坂棚田椿衆(富山県氷見市長坂)
(3)奨励賞:神田竜也(岡山県立烏城高校・関西福祉大学非常勤講師)

2.業績名及び授賞理由
(1)畑の棚田保存会(滋賀県高島市畑)
業績名:工夫を凝らした都市住民との交流活動の継続で室町時代からの棚田を保全
授賞理由:起源が室町時代に遡るといわれる畑地区の棚田は、琵琶湖の西北部、比良山系の東部に位置し、平均勾配1/7の急峻な地形に展開する大小359枚15.4haの水田からなる。「日本の棚田百選」に選ばれており、現在約140名の農業者が耕している。農業者の高齢化が進んで、急勾配での農作業が困難になっているが、棚田の保全意識は高く、平成12年に集落全員が参加して「畑の棚田保存会」を立ち上げた。行政の支援を得ながら、棚田オーナー制度の創設、棚田ボランティアの受け入れ、大学や民間企業との連帯等、都市部の人々との幅広い交流を図り、さらに、棚田米のブランド化、棚田酒・棚田味噌・漬物の製造、耕作放棄地での山菜栽培など、特産品の開発販売などにも力を注いでいる。京都、大阪等の大都市圏に近いこともあって取り組みは順調だが、その陰には、交流を充実させるために絶えず工夫を凝らす並々ならぬ努力がある。
 以上のとおり、「畑の棚田保存会」は棚田の保全に資する顕著な業績をあげ、全国の棚田地域の範となっていると認められるので、ここに棚田学会賞を授与する。

(2)長坂棚田椿衆(富山県氷見市長坂)
業績名:富山湾越しに立山連峰を望む棚田景観の保全と心なごむ人の交流
授賞理由:長坂棚田は富山県氷見市の北東17kmの中山間地に位置し、住民126名が18.1ha、約150枚を耕している。戦国期から江戸初期の開発とされ、富山湾越しに立山連峰を望む美しい景観に恵まれ、「日本の棚田百選」に選ばれている。しかし棚田は地滑り地区でもあって作業効率が悪く、荒廃化をとめることはできなかった。
 平成11年に農道舗装や水路改修が行われたのを機に、地元農家、JA、県、市からなる氷見市棚田保全推進会議が組織されて、「オーナー制度」を開始した。その中核を担っているのが長坂地区の25人からなる「椿衆」(名の由来は地元の天然記念物「大ツバキ」)で、作業指導、圃場管理、イベント企画・運営・交流などに尽力し、34組180名のオーナーを維持している。農作業だけでなく、地元小学生による学習発表・獅子舞伝承、地元住民との談話会、散策会など交流活動は多岐にわたって魅力に冨み、世代を越えた幅広い「絆」を深めている。こうした地味ながら不断の努力こそが、条件不利地の棚田保全への都市民の関心を高め、地域の美しい景観や農村集落の良さを再認識させる基となっていると、高く評価される。
 以上のとおり、「長坂棚田椿衆」は棚田の保全に資する顕著な業績をあげ、全国の棚田地域の範となっていると認められるので、ここに棚田学会賞を授与する。

(3)神田竜也(岡山県立烏城高校・関西福祉大学非常勤講師)
業績名:棚田保全に関する先駆的研究と積極的な棚田地域支援の実践
授賞理由:神田竜也氏(1978年生)は、新進気鋭の棚田研究者である。同氏は環境学博士を岡山大学から取得(2010年)しているが、そのテーマ「中山間地域における農地の放牧利用と保全主体に関する研究」が示すように、農山村の過疎化、荒廃化とその対策への関心が高い。とりわけ岡山県をはじめとした中国地方の棚田地域における綿密なフィールドワークから、「岡山県における棚田保全の取組みについて」(棚田学会誌第4号、2003年)、「棚田保全活動の展開とその役割―岡山県中北部の2集落を事例として―」(人文地理59−4、2007年)、「岡山県久米南町北庄における棚田のため池灌漑システム」(棚田学会誌第10号、2009年)、「棚田荒廃後における集落組織主体の水田放牧―東広島市西条町福成寺を事例として―」(棚田学会誌第12号、2011年)をはじめ、数多くの棚田保全活動に関する先駆的な研究成果を精力的に発表しており、これらはいずれも棚田地域の社会的課題を包括的に捉えて、その対応策を検討した、実証的、実践的な研究として高く評価される。また同氏は、休耕地の草刈、田植えや稲刈りなどの棚田ボランティア活動にも積極的に参加して地域を励まし、さらに近年はベトナムにおける棚田調査に参加するなど、社会性と幅広い視野とを兼ね備えた、得がたい若手棚田研究者として注目される。
 以上のことを総合的に勘案して、ここに「棚田学会奨励賞」を授与する。

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